~胎児性Fc受容体(FcRn)の名前の由来~
胎児性Fc受容体(FcRn)は、その名称に胎児性(neonatal)という言葉が付いていますが、これはFcRnがげっ歯類新生児で発見されたことに由来します。
FcRnは生涯にわたってわたしたちのからだのなかに存在し、主に内皮細胞及び骨髄系細胞に発現しています。
❶IgG自己抗体を含むIgGがFcRnと結合する
❷FcRnと結合したIgG自己抗体を含むIgGはリソソームでの分解をまぬがれる
❸IgG自己抗体を含むIgGがリサイクル(再利用)される
❶FcRnにウィフガートが結合=lgG自己抗体を含むIgGが結合できなくなる
❷FcRnと結合できなかったlgG自己抗体を含むIgGはリソソームで分解される
❸リサイクル(再利用)されるlgG自己抗体を含むIgGが減る
ウィフガートによってIgGの血中濃度も下がるため、感染症への注意が必要です。
詳しくは「気を付けること」のページをご参照ください。
Howard JF Jr, et al. Lancet Neurol. 2021;20(7):526-536.
Ward ES, Ober RJ. Trends Pharmacol Sci. 2018;39(10):892-904.
ウィフガートは、世界で初めてFcRnをターゲットとした、新しい全身型MGの治療アプローチです。
ウィフガートは、ヒトのIgGのFc領域によく似た形で、IgGやIgG自己抗体よりもFcRnと結合しやすいようにデザインされています。そのためウィフガートを投与すると、IgG自己抗体を含むIgGはFcRnと結合できなくなります。ウィフガートはIgG以外の免疫グロブリンやアルブミンの濃度には影響しません。
Fab領域…抗原と結合する部分です
Fc領域…Fc受容体や補体との結合にかかわる部分です
アルジェニクス社内資料
Peter HH, et al.: J Allergy Clin Immunol. 2020;146(3):479-491.
胎児性Fc受容体(FcRn)は、その名称に胎児性(neonatal)という言葉が付いていますが、これはFcRnがげっ歯類新生児で発見されたことに由来します。
FcRnは生涯にわたってわたしたちのからだのなかに存在し、主に内皮細胞及び骨髄系細胞に発現しています。
IgGには、IgG1からIgG4までの4つのサブタイプがあります。
IgG自己抗体として、アセチルコリン受容体(AChR)抗体と筋特異的受容体チロシンキナーゼ(MuSK)抗体がよく知られていますが、AChR抗体はIgG1または3、MuSK抗体はIgG4が主体です。
FcRnは、IgGとIgG自己抗体を区別することなく、どのサブタイプとも結合します。
臨床試験において、ウィフガートは、すべてのIgGサブタイプの血中濃度を下げることが報告されています。
Ulrichts P, et al.: J Clin Invest. 2018; 128(10): 4372–4386.